塗って終わりじゃない?水性塗料・溶剤塗料の保管方法と注意すべきポイント!!
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塗料は住宅や建築物の外観を美しく仕上げるだけでなく、外部からの劣化や腐食を防ぐための塗料製品です。しかしその性質上、保管方法を誤ると火災などの事故の危険が伴います。このブログでは塗料を安全かつ効率よく管理するための方法や、実際に弊社が行っている保管方法の工夫をご紹介します。正しい保管を行うことで、安全確保や品質維持はもちろん、塗装施工の効率化にも繋がります。
【塗料は性質ごとに分類し、場所を分けて保管】
先日のブログでも触れましたが、改めてご紹介いたします。塗料には大きく分けて「水性塗料」と「溶剤塗料」の2種類があります。弊社では、それぞれの特性に応じて、「水性塗料倉庫」と「危険物倉庫(溶剤塗料用)」に分けて、適切に保管しています。保管する塗料の種類によっては、温度変化・直射日光・湿度・高温などの環境に注意が必要です。特に溶剤系塗料はシンナーやラッカー系などの可燃性液体があり、第一石油類や第二石油類に該当するため、消防法に基づく規定を守って安全に管理する必要があります。
【倉庫内の保管方法と設備の工夫】
弊社では水性塗料の保管方法は、保管棚を足場用の単管と道板を使って自作の棚を設置し、置場所には番地表示しています。A1前、A1後と前後に置けるようにしています。塗料を棚から取り出す時上部は取り出しやすいので問題ありませんが、一番下の床面に塗料缶を直接置くと奥に置いてる塗料が取り出しにくいため木板にキャスターをつけた移動式台車を作りそれに載せて保管しています。これにより缶の移動がしやすくなるのと、床面に直接置くと湿気で缶底に錆の発生を防ぐことができます。
また、容器ごとの重量(kg)や塗料缶の開封日をシステムで記録することで、使用後の残量管理や、常に使いやすい状態の維持に役立てています。

【危険物倉庫での注意点と安全管理】
危険物倉庫では、鋼製棚を設置し、置場表示は水性倉庫の置き方と違ってA1、A2、のように前だけで置いております。以下のような安全対策を講じています。以下は消防署へ事前届け出後、消防署の許可後の設置になります。
1.棚板の耐荷重や最大積載量をカタログを消防署へ提出
2.転倒防止のための固定方法
3.塗料缶の転落防止用チェーンストッパーの設置
他にも電灯や窓、扉なども事前に消防署の許可が必要になります。

さらに、火災の原因となり得る静電気への対策として、弊社では静電気除去パッドを使用します。
危険物倉庫へ入室する際には、必ず体表の静電気を除去してから入ることを徹底しています。
これは、セルフ式ガソリンスタンドで「静電気除去パッドに触れてからガソリンタンクを開けてください」と呼びかけられるのと同様、静電気が火災発生の大きな要因のひとつであるためです。

弊社の危険物倉庫の最大貯蔵量は第一石油類は最大400リットル、第二石油類は3000リットルまでの保管が可能ですが、これも法令に基づいた上限量であり、変更する時は所轄の消防署への届け出が必要となります。数量の管理には特に注意が必要です。
というのも、塗料缶の中身が半分しか入っていなくても、一缶としてカウントされるためです。
保管数量の計算は「容器の容量の量」で行われるため、残量ではなく缶の容量での数が基準となります。
【在庫管理は自社開発システム「らくらく塗装屋さん」で】
弊社では、自社開発の**塗料倉庫の在庫管理システム「らくらく塗装屋さん」**を導入しており、塗料ごとにQRコードを発行し、新規登録を行います。電源を必要とするシステムのため、水性塗料倉庫内に設置し、危険物倉庫内には直接システムを設置していません。
このシステムにより、商品名・メーカー・種類・色・缶の大きさ・重量などの情報が一元管理され、入出庫の履歴やタイミングも把握できます。お客様からの問い合わせや社内での確認共有作業もスムーズになりました。
【危険物倉庫の棚管理も「見える化」で効率アップ】
「どの棚が空いているか」を少し離れた危険物倉庫まで行って確認する手間を省くため、水性塗料倉庫内に危険物倉庫の棚一覧表を掲示しています。棚の番号にはマグネットを活用し、「塗料を置いた棚」にはマグネットを貼り、空き棚にはマグネットを貼らないことで、ひと目で保管場所が分かる工夫をしています。
この一覧表管理方式は、少量ずつ異なる種類の塗料を扱う際にも非常に有効で、異なる種類を混在させずにに収納できるというメリットがあります。

【正しい保管でコストと品質を両立】
塗料は高い性能を持つ工業製品でありながら、保管状況によっては劣化する可能性があります。塗料缶の蓋がしっかり閉まっていないだけで、空気に触れて硬化・分離・乾燥してしまい開封後一年も経たずに使用できなくなることもあります。適切な容器管理と遮光・遮熱環境の整備は、塗料の不具合による施工不良の原因を無くすためにも重要です。
【廃棄塗料をグラフで見える化】
弊社では塗料倉庫の在庫管理システム「らくらく塗装屋さん」を活用することで、塗料の廃棄量削減にもつなげています。システム導入前は、お盆前や年末前など長期の休み前のタイミングで、古い塗料をまとめて一括廃棄処分していました。その際、私たちが注目していたのは「廃棄処分費用」だけで、実際に廃棄する塗料がいくらで購入されたものかまでは把握できていませんでした。
しかし、「らくらく塗装屋さん」では、毎月の廃棄塗料の量と、廃棄対象塗料の購入時金額がグラフで見える化されてるため、開封から1年を迎える前に、営業担当がその塗料をお客様へご提案する運用が可能になりました。
これにより、使える塗料を廃棄せずに再活用する機会が増え、無駄の削減やコスト意識の向上にもつながっています。以前は購入金額がわからずに処分していた塗料も、今では正確な在庫管理金額管理と廃棄金額(購入時金額)が把握できるようになり、SDGsの観点からも非常に有効です。ただし、開封より一年経過した塗料は廃棄処分しています。

【よくあるQ&A】
Q1. システムを危険物倉庫に置けないのはなぜ?
A: 危険物倉庫は電気火災のリスクが高いため、電源を必要とする機器の設置には消防法上の制限があります。そのため、非防爆機器の使用は水性塗料倉庫など安全性の高い場所に限られます。
Q2. QRコード管理ってどんな運用をしているの?
A: 新しく入庫した塗料にQRコード付きラベルを貼付し、スマホやタブレットで読み取ります。登録時には商品名・色・缶サイズ・購入日・開封日などを入力。在庫一覧や廃棄期限の確認が可能になります。
Q3. 廃棄塗料のグラフはどんなふうに見えるの?
A: 「らくらく塗装屋さん」では、月ごとの廃棄量の推移グラフや、塗料の「購入額ベースでの損失金額」を色分け棒グラフなどで表示できます。視覚的に無駄を実感できるのが特徴です。
【まとめ|正しい塗料管理が施工の質を変える】
塗料の保管は、単なる「置き場」ではなく、安全性・効率性・コスト削減・品質維持に関わる重要な管理項目です。今回ご紹介した保管方法の工夫、棚の設置、在庫管理システムの導入、静電気対策などは、会社ごとの現場環境や取り扱い製品に合わせて最適化することが必要です。
また、塗料倉庫の見える化の取り組みは、塗装サービスを提供する企業様や、住宅リフォーム・工事業者の皆様にとっても、ぜひ参考にしていただきたい事例です。
安全で効率的な塗料の保管方法の選び方は、塗料の性能を最大限に引き出すための重要なポイント。
塗料倉庫の在庫管理システム「らくらく塗装屋さん」を活用することで、面倒な在庫管理を“簡単で分かりやすく”変えることが可能です。面倒な棚卸も一瞬で終わります。また廃棄塗料の大幅な削減にも繋がります。ぜひ、次世代の塗料管理を今すぐはじめてみませんか?
この記事を書いたスタッフ
