住宅の屋根外壁塗装やDIYで使用する塗料には生年月日、製造年月日があることご存じですか?

塗装業界が抱える多くの色々な問題を私「塗装屋ますおさん」が解説します。

塗料は住宅のメンテナンスやDIYに欠かせないアイテムですが、実は消費期限が存在します。期限を過ぎてしまった塗料を使うと、期待する機能を十分に発揮できず、塗装の仕上がりにも悪影響が出ることがあります。このブログでは、国内で製造されてる塗料の使用期限について、製造年月日の見方、期限切れ塗料の見極め方、正しい処分方法、再利用方法、そして主要な塗料メーカーの塗料消費期限を詳しく解説・紹介していきます。

【塗料の使用期限を確認する方法】

塗料の使用期限は、塗料缶の側面や底面に記載されています。ほとんどの塗料メーカーが製造年月日を具体的な西暦の年月日で表示されています。、メーカーによってはロット番号で表示されている場合もあります。この番号を確認することで製造年月日が分かるため、塗料を購入する前に確認されると安心です。

下記のように、製造年月日がすべて西暦で明記されており、とてもわかりやすく表示されているメーカーもあります。

2024年12月26日製造
2025年1月17日製造
2024年10月11日製造

また、塗料メーカーによっては、LOTナンバーの後に続く数字が「西暦の下1桁」を示している場合もあります。メーカーごとに製造年月日の表記方法が異なるため、確認の際には注意が必要です

2025年2月10日製造

【塗料の使用期限】

塗料の使用期限は塗料メーカー毎に違いますが、未開封の塗料で1年。開封後の塗料は塗料購入会社で保管や保存方法が違うため開封後1年以内でも確認が必要です。「外に置いててシートを被せて保管してる」「カーポート等の屋根のある場所に置いてる」「プレハブ等の倉庫に保管してる」「危険物倉庫に保管してる」など保管方法が違うため開封した塗料の状態を確認しながら固まりや分離がなければ使用は可能です。使用できない塗料にはいくつか特徴があります。

塗料の表面に固まりができていたり、容器を開けた時に異臭がする場合や塗料が顔料と分離してる場合は明らかに塗料が劣化してる状態です。塗料を攪拌しよく混ぜても色が均一にならない場合や、塗料が著しく粘度を失っている場合は使用を控えるべきです。

古い塗料を無理に使ってしまうと、塗装面の仕上がりが悪くなるだけでなく、塗装後すぐに剥がれるなどの問題が発生する恐れがあります。

また、油性塗料と水性塗料では使用期限が異なります。一般的に油性塗料の方が水性塗料よりも使用期限が長い傾向にありますが、どちらも塗料メーカーが定める期限以内に使い切ることをお勧めします。塗料メーカーのホームページから製品の情報を確認しましょう。

塗料の使用期限と正しい見極め方について

塗料は時間とともに劣化が進みます。使用期限は、メーカーによって多少異なりますが、一般的に未開封の塗料は約1年が目安とされています。
しかし、開封後の塗料については、保管方法によって大きく左右されるため、たとえ購入から1年以内であっても注意が必要です。

たとえば――

  • 屋外に置いてシートを被せて保管している
  • カーポート下など屋根のある場所に保管している
  • プレハブ倉庫などに保管している
  • 危険物倉庫で適切に保管管理されている

など、保管する環境は会社ごとに様々です。
そのため、開封後の塗料を使用する際は、状態をしっかり確認することが大切です。固まりや分離が見られなければ、使用可能なケースもあります。

カーポートで保管
プレハブ倉庫で保管
危険物倉庫内で保管

【 使用を避けるべき塗料の特徴】

以下のような状態の塗料は、劣化している可能性が高く、使用を控えるべきです。

  • 塗料の表面に固まりができている
  • 容器を開けたときに異臭がする
  • 顔料が分離している
  • よく攪拌して混ぜても色が均一にならない
  • 粘度を失っていてシャバシャバしている

これらの症状が見られる場合、その塗料は本来の性能を発揮できず、仕上がりに悪影響を及ぼす恐れがあります。

【古い塗料を使うリスク】

「まだ使えそうだから…」と古い塗料を無理に使ってしまうと、

  • 仕上がりがムラになり美観が損なわれる
  • 塗膜が密着せず、すぐに剥がれる
  • 塗膜が膨れ再塗装が必要になる

といったトラブルが発生する可能性が非常に高くなります。

【開封した塗料は開封日の記録が大事】

塗装業者によっては、在庫として保管している在庫塗料を使用するケースも少なくありません。
そこで重要なのは、「塗料の開封日がきちんと記録されているかどうか」です。一般的に、開封から1年以上経過した塗料は、塗膜の剥がれや膨れなど、施工後の不具合が発生するリスクがあります。弊社で導入している塗料倉庫の在庫管理システム「らくらく塗装屋さん」では、開封日から1年を過ぎた塗料には赤色の警告表示が出て、持出が禁止されます。

在庫塗料はQRコードで管理
持出時QRコード読み込み
塗料缶に開封日表示

【使用期限切れ塗料の処分方法】

塗料の処分には各自治体ごとのルールがあります。多くの自治体では、塗料を固形化してから可燃ごみとして出す方法を推奨しています。その際は新聞紙や古布に塗り広げて、乾燥させる必要があります。
弊社では廃棄塗料は廃棄塗料専用の「MGフィルム」を使って塗料を乾燥させて処分をしています。乾燥させることで重量が半減されます。

また、事業所から出される塗料は自治体での処分はできません。専門の塗料廃棄物処理業者に依頼する必要があります。廃棄塗料を乾燥させて廃棄する方法もありますが、水性塗料はどこでも乾燥させることは可能ですが、溶剤塗料を乾燥させる場合は危険物倉庫内での乾燥が必要になります。管轄の消防署への確認が必要です。

【使用期限が切れた塗料を再利用する方法】

使用期限が切れていても、完全に劣化していない塗料はDIYで再利用できます。例えば、小物のペイントや古い家具のリメイクに使うことは可能です。ただし、外壁塗装や住宅リフォームなど重要な箇所への使用は避け、あくまで簡易的ご自身での使用する用途に限りましょう。

利用する際は、塗料の機能が十分保たれているかを必ず事前に確認してください。少しでも疑問があれば使用を避けましょう。

【まとめ】

劣化塗料の使用は不具合の原因になるため、注意が必要です

・未開封の塗料は1年が目安

・開封後も開封後1年以内の使用が目安。保管状況によって品質が変わるため状態確認が必要。

・異臭や分離、粘度の変化などは劣化のサインです

・塗料選びの段階から、使用量や用途に合ったものを選ぶことが大切です。

・再利用しやすい保管方法を整えておくことで、無駄の削減にもつながります。

・環境に優しい塗料を選ぶのも工夫の一つですね。

以上の点に注意しながら、保管されている塗料をなるべく無駄にせず、適切に活用していきましょう。塗料の年間廃棄量は推計で約62万トンにもなるとも言われています。このような状況をふまえ、廃棄のリスクも考慮したうえで塗料を選ぶことが、環境への配慮にもつながります。

このブログを書いたのは、株式会社フクモト工業 代表取締役 福本満壽男です。
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